【モンゴル旅2024】#7 どうなる!?ショウ出演03

―#6 どうなる!?ショウ出演02の続きです―

ショウに出ることは出るとなり、リハーサルの日々が始まりました。

が、モンゴル側、舞台監督とのやり取りの難しさは変わりませんでした。

例えば、言われた時間どおりに劇場へ行っても、なかなか私たちの出番が回ってきません。1時間経ち、2時間…、3時間経ってもまだ呼ばれません。

しびれを切らし「私たちの出番はいつですか?」と尋ねても、「もう少しだから準備をしてちょっと待ってて」と言われてしまいます。

生徒たちはいつ呼ばれてもいいように衣装を着て、ウォーミングアップをしながら仕方なく待ち続けているのですが、だんだんと劇場の閉館時間が近づき、「あと10分で閉館だね、どうやら私たちは呼ばれなさそうだね。もう衣装を脱いで、帰って休もうか」と帰る準備を始めると「おーい、日本チームはどこだ?ステージに上がって演技をしてくれ!もう時間がないから、すぐに曲をかけて始めてくれ。ミュージック!」なんて声が聞こえてくるではありませんか!

慌ててステージへ行き「時間になっても始まらないのに、そちらのタイミングで呼ばれても今すぐに演技をするのは無理です。ウォーミングアップに10分ください」というと、舞台監督は「どうして準備ができていないんだ!?今日はリハーサルだと言っていただろう。リハーサルというのは、演技を披露することだ。パフォーマーたるもの、呼ばれたら本番どおりの演技ができるよう常に準備しておくものなんだぞ。おい、(近くにいたモンゴル人スタッフに)どうして日本人チームが用意できていないんだ?彼女たちに、演技を披露するというのは、ウォーミングアップを済ませて、衣装も着て、準備万端でいることだと説明してやってくれ」と怒り出す始末。

「出演者たるもの」ですって?今回私たちは出演料をいただいて出演するのではありません。渡航費も滞在費もすべて自費で、イベントを楽しむためにやってきたはずなのですが…。なんでしょう、このぬぐえない違和感は!?

またある日は、「今日のリハーサルは何時までですか?」と舞台監督に尋ねると、「それはリハーサルをやってみないとわからない。今答えられるものではない」と返ってきます。

「そうですか。そうしたら、明日もリハーサルをやりますよね?明日のリハーサルは何時からですか?」と聞くと、「もちろん明日もリハーサルをやる。もう本番1週間前だから、当然やるさ。時間は、今日のリハーサルが終わってからじゃないとわからないだろう。わかったか?」と返ってくるのです。

「俺はウランバートル劇場の長だぞ」って、こんなずさんなスケジュールでよくもまあ!プンプン!

このようなやり取りが毎日毎日、本番前まで繰り返されました。

リハーサルが終わるのはいつも21時すぎ。帰宅すると22時を過ぎ、翌朝は9時からオトゴー先生の教室で練習。午前中いっぱい練習したら昼飯もそこそこに、速足で劇場へ移動-。

オトゴー先生の教室で指導を受けるNaruさん(左)とYuuriさん(右奥)

モンゴルに来る前に思っていたよりも、ずっとハードモードになったのでした。

あれれー?

おかしいなー!?

↑リハーサルの様子。私たちの演技にモンゴルのダンスチームが加わることになり、一緒に練習することに。

ところで、今回一緒に来たメンバーは5名のひとり、Naruさん。

Naruさんは50代前半からコントーションを始め、ずっと通い続けてくださっていて今年で8年目になります。体操やバレエなどの経験はありませんが、淡々と練習を積み重ね、驚くほど柔軟性を上げていらっしゃいます。倒立もできるようになってきました。

Naruさん

ただ、コントーションに魅力を感じてレッスンは長年受けてくださっているものの、「ひと前で演技を披露したいとは思いません。見るのは好きですが、自分がステージに立つというのは希望していません」とおっしゃっていました。

「MCCはコントーションが好きなひとたちの集まり。熟練者だけでなく初級者もいるし、大人から始めたひとや学び始めたばかりの少女も参加していますよ。ワークショップやショウがあって楽しいですよ。Nさんも参加してみては?」と私がお誘いすると、「プロや熟練者が多くて、私なんかが参加してよいイベントではないかなと気負いしていたけれど、気軽に参加してよいみたいですね。それなら今、行けるうちに行っておかないと。モンゴルもいつか行ってみたいと思っていたし、生きているうちにまた行けるかどうかわからないから。良い記念になったら良いな」と参加を決め、このたび海を渡ったのでした。

そんなNaruさんも、気づけば一緒にハードモード・モンゴルに突入!

当時のNaruさんは、「えっなになに?コントーションの演技をモンゴルで披露?みんなで作品を作り直す?振り付けが全然覚えられない!で、あと1週間で本番?舞台なんて初めて、何もわからないのに、なぜか朝青龍のような舞台監督にすごい圧をかけられている…どうすればいいの?」と内心パニックだったそうです。表に出さないよう必死だったそうですが、夜ホテルに帰ると、日本で待っているご主人に泣きながら「どうしよう?」と相談していたのだとか…。

リハーサル初日に舞台監督から「君たちの演技はショウに合わないから、出さない」と言われたとき、メンバーたちが「えっどういうこと!?」と困惑し怒りすら覚えていたとき、実はひとり「出ないことになって良かった~」とホッとしていたのだと、帰国してから後日談で知りました。

「それが結局出ることになって、焦りましたよ。ほかの皆さんは舞台に慣れていて手際よく進めていくけれど私は本当にわけがわからなくて、本番しくじったらどうしよう?ってことで頭がいっぱいで…。

途中、みんなでカラコルムへ旅行に行きましたよね。あれ、正直全然楽しめませんでした。

ごはんも、『これ食べてみて。ここで作った乳製品だよ。おいしいよ』と遊牧民の方に勧められたけれど、何を食べても味がしませんでした」というお話を聞いて、みんなで大笑いしたのでした。

笑っちゃいけなかったのかもしれませんが、大笑いしてしまいました!

ハラホリン(モンゴルの古都 カラコルム)のある遊牧民のご家族のおうちに泊めていただきました。

《続く》

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