【コントーションの歴史①】コントーションの起源

「コントーションって、モンゴルが発祥なんでしょ?」

「No!モンゴルのコントーションはレベルが高く世界中で有名ですが、コントーションがモンゴルから始まったわけではありません」

これは、文献や資料を見たり読んだりしても明らかです。

「じゃあコントーションはいつ、どこで始まったの?」

よく聞かれる質問ですが、ハッキリと答えることができず、困ってしまいます。

なぜハッキリと答えることができないか?といいますと、まだ答えが出ていない問いだからです。

なぜ答えが出ていないか?といいますと、コントーションについてちゃんと研究している研究者が、世界中にあまりいないからです。

世界中でまだまだマイナーなんですよね…コントーションてね…^^;

それなら私がちゃんと研究しようじゃないの!

と、鼻息荒めに以前からあちこちの資料を集めてきた私。

コントーションをテーマに集めた手元にある資料を紹介しながら、あれこれ書きますね。セピア色に褪せた写真やイラストに萌えながら、一緒にコントーションの始まりを探ってみましょう!

さてさて、

まず紹介したいのは、古代エジプトの遺跡です。

弓技、水泳、乗馬、ボクシングにレスリング、フェンシング、それに種々の陸上競技…。

壁画や石などに描かれた様々なスポーツやヨーガ(!)にまじって、ブリッジなどの後屈を披露する踊り子の絵が残されているのです。本記事トップに載せた画像がまさにそれで「踊り子」というタイトルがつけられています。紀元前1200-1100年ごろのものだといわれています。

今から3000年以上も前に、ひとはすでにブリッジを披露していたのですね!

2022年の今、ブリッジをすると、3000年以上も前のエジプトの踊り子も同じことをしていたんだ、と気持ちがシンクロするような…。なんだか、感慨深いですよね。

※以下、「古代エジプトのスポーツ」(A.D.トウニーほか著 ベースボール・マガジン社 1978年5月30日第1版第1刷発行)より。

「エジプトにおかえる祭りの際におこなわれる踊りには、体操競技を思わせる多くの姿勢がある。」(本書より)ブリッジは踊りだけでなく、体操競技としても行われていたのかもしれません。
「祭りの踊り」とタイトルがつけられたこちらの石に描かれた絵は、紀元前1480年ごろに描かれたものだとされています。上の段のひとたちをよく見てみると…
この6人!ブリッジや「やどかり」をしている姿に見えませんか?

上の段の3人…こんな感じに見えません?

(表情は勝手に書きました。)

このブリッジ…手の幅がちょっと広いかな…。そして、背骨と股関節が硬いのが気になってしまいます…。

それにしても、頭長いな!?

こちらの”やどかり”をやっている方、顔面がつぶれてやいませんか…?上のブリッジからも、やどかりをやるには柔軟性がいくばくか足りなさそうなのは伝わってきますので、無理にこのポーズをやらない方がよいかと…!

あぁ~こちらの方も肘と膝を伸ばしてほしい…!股関節の屈曲も気になります…!

あれ、今気づいたけれどもしかしてこれって頭が長いんじゃなくて

ヘアスタイルなのかな…?

はい、そーんなどうでもいいつぶやきはおいといて(笑)

ひとは昔から反っていたのです。そう、西暦が始まるずっと前から!

こないだも生徒と話していたのですが、ひとって、生まれながらに”反りたい特性”を持っているのかもしれませんね。

こちらは、頭部などが欠けているのですが、座禅を組んでいるひとが2人並んで座っているように見えますね。「ヨガ運動」とタイトルがつけられています。

「インドのヨーガに似た心身の鍛練が紀元前2500年にエジプトに行われていた」のだそうです。

えっそんな昔に、エジプトでインドのヨーガが行われていたと!?

インドからエジプトに伝わったのか、はたまた、エジプトのひとたちが考えて実行していたものがインドのヨーガに酷似していたのか…?

そうだ、そういえばですよ。昨日開催しました「第1回 コントーション勉強会」でもお見せした資料の中のひとつ、モンゴルの最初のコントーションの形。

1941年、ツェンドアヨーシさんというモンゴルサーカスの最初のメンバーのひとりで、モンゴルで初めてコントーションをひとつのジャンルとして演じたといわれている方の演技の写真。(『「Mongolian Contortion」ノロブサンボー著 2011年 ウランバートル市 発行』より)

こちらを見た、ヨガに精通したある生徒さんが「このポーズ、全部ヨガにありますよ」とひとこと。

モンゴルサーカスに、インドのヨガが関係している!?

モンゴルサーカスの始まりは、ロシア(ソ連)のサーカス学校に留学に行って学んだモンゴル人たちが帰国して、「芸術的な体育クラブ」という名で小さな団体を作ったことだといわれています。

モンゴルのドキュメンタリー番組「忘れてはいけないマネージュ」より。もーこ翻訳。

モンゴルコントーションの始まりはもう少し古く、「17世紀に舞台で演じられていたという歴史的な証拠があるのだ」と、あるモンゴル人コントーション指導者は語ります。

ただ、その「歴史的証拠」というのを、私はまだ見たことがありません。

ただ、このようにモンゴルの資料をいくつか見ても、インドの「イ」の字も出てこないのですよね。

世界中のつながりを、もっと広く知る必要がありそうです。

(あぁ~学生の頃に世界史や地理をちゃんと勉強しておくんだった…!)

というのはさておき、

コントーションを身体の柔らかさを見せる行為と定義するなら、「踊り子」とタイトルがつけられた古代エジプトのブリッジをしている女性はあてはまりますよね。ということは、今回紹介した古代エジプトの資料だけ見ても、コントーションの起源は、少なくとも今から3000年前といえます。

<コントーションの歴史を辿る旅は続く>


■□コントーション勉強会のお知らせ□■

コントーションについて知るための場です。オランノガラルト=「芸術的な曲がり」と呼ばれるモンゴルコントーションを中心に、コントーションの歴史や文化について、映像や画像で資料を紹介し、実体験をまじえながら、ノガラ主宰のもーこが話します。

会員じゃない方も、サーカス関係の方やパフォーマー、興味がある方はご参加いただけます。

https://coubic.com/contortion/922810


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